【30ページ】 ##5 研究会意見交換会の記録 2022年5月~2025年1月 ###2022年度第1回意見交換会 日時:2022年5月30日 16:00~17:00 1.社会の動き ・週20時間未満勤務も障害者雇用率参入へ、厚労省が検討 ・内閣官房 全世代型社会保障構築会議→勤労者皆保険の検討 ・「はたらく難病ラボ」3回実施 2. 2021年度の活動実績 ・実態調査→難病者の雇用に関する調査、依頼1915件(回答433件) ・『難病者の社会参加白書』の発行、1915自治体他2500ヵ所へ送付 ・2021年6/7孤独孤立対策に難病を含める要望書提出 ・2021年9/28「第7回孤独・孤立に関するフォーラム」への出席、提言 →内閣官房「孤独・孤立対策の重点計画」にて“難病等の患者“が明記された ・2021年11月 1,915自治体首長宛に3つの提言を送付 3. ディスカッション ・法定雇用率に難病者を入れるかどうかの議論等、行政の動きが本格化 ・医学的重症度と社会活動の可否は異なる→就労困難性を計る何か新しい尺度があると良い ・企業では、在宅勤務のハードルが下がっている ・どのような条件で仕事がしにくくなるのか等の「私の取説」を導入 ・国からの補助金や障害者雇用率等のトップダウン的な取り組みも必要 ・企業文化として、病気や年齢に関わらず仕事ができるという意識が企業を強くする ・難病を黙って働いている人よりも、職場に伝えている人の方が幸福度が高い調査結果が出ている ・病院休暇が欠勤扱いになる会社もあれば、欠勤扱いになるがボーナスの評価に含まれない会社もある ・がんと就労の取り組みが進んでいるため、難病と就労の参考にできるかもしれない ###2022年度第2回意見交換会 日時:2022年10月5日 10:00~11:20 1.社会の動き ・難病患者に「登録者証」発行へ、各種手続きの手間・費用負担を軽減…対象は100万人超 ・障害者雇用の大量退職時代が到来、法定雇用率の維持に向け企業が人材確保に苦慮 ・明石市にて難病者の雇用開始(指定難病・有期・短時間・受付業務) 2. 企業事例紹介 ソフトバンク(2016年から週20時間未満のショートタイムワーク制度)、VALT JAPAN(鎌倉市の就労困難者特化型BPO事業を受託し新たなデジタル就労支援)、ピーペック(コアタイムなしフルフレックスで裁量労働制・在宅)、世田谷公社(業務委託形態で就労支援)、ゼネラルパートナーズ(出社・在宅併用、全員がリモート環境)、NECネッツエスアイ、ファーストリテーリング 3. リモートワークの可能性・組織文化や価値観への働きかけについて ・人事管理面で出社を求める側面があるのではないか ・部署ごとの業務内容によるリモートとの相性のよしあしと文化 ・リモートワークでも可能な人事評価制度の確立 ・リモートワークに適応するスキルの取得の必要性 ・企業のトータルコスト面へ訴える ・企業内で弱さをさらけ出す難しさは、難病者も健常者も同じではないか。自分のしんどさや苦痛を出せるようになるとよいのでは ・企業にも、自治体にもインクルーシブという考え方が浸透するとよい ###2022年度第3回自治体意見交換会 日時:2023年1月31日、2月10日(オンライン) 1.被雇用者(職員)が難病になった時の支援体制について ・現状については自治体の規模によって異なっている ・人事部門が把握している難病者が数名おり、配慮が必要な職員がいる ・具体的な相談内容の把握は、本人から申し出にくい状況やプライバシー問題もあり困難 ・受け入れる職場・職員の理解が無いと、難病者向けの休暇制度等があっても、制度の活用は難しいと思われ、理解促進への取り組みが大事 ・障害者雇用の研修と同様に、難病者についても研修をして行けたら良い 2.難病者を新規に採用出来る可能性とその方法について ・今の枠組みでは、手帳のない難病者を優先雇用する理由が難しい ・難病者に特化した形での採用という形は現段階ではイメージしづらい ・明石市の事例を紹介、自治体として、このような取り組みがあり得るのではないか ・難病者の在宅勤務はまだ制度化してなくても、コロナ禍による在宅勤務のノウハウの蓄積や難病者の職場での支援の蓄積により、難病者の働きやすい環境や仕事内容が少しずつであるが、わかってきた 3.自治体として難病者雇用の推進計画を策定する上での課題・問題点について ・難病者向けに特別休暇を用意しているような事例はこれまでも聞いたことが無い ・病気休暇の1日単位に対して、人工透析者の場合、時間単位で取得している ・勤務時間数が同じだと、くたくたになってしまい働き続けることは難しい。勤務時間の軽減や短時間勤務という制度が必要ではないか ・医学の進歩も激しく、難病者でも投薬により、仕事を続けられる可能性が増えてきている ・難病者と障害者の違いは何か、という問題提起がなされ、障害の場合は原則、状況が固定し、評価の基準もある程度明確であるが、難病の場合は、医療の範疇が絡み、症状の変化が大きく、波があるので、ルールを決めにくいとの話が出された ・難病者への対応に、経験がないことによるノウハウの少なさによる課題が多く出された ・仕事を細かく切り出し、マッチングができるような制度があれば短時間でも就労できるのではないか ・自治体の難病就労対策については、財源確保やバランスの問題が出てくるので難しい面があるが、社会保障も含め、難病者の存在自体で報酬があるようなことも考える必要があるのでは ・難病は医学の面からも、人によってかなり多様性がある ・国の施策も難病者への配慮を含め、少しずつ良い方向に変わってきている ・コロナ禍で国からの在宅ワークの指示もあり、取り組んだが、向く仕事と向かない仕事がある。人と人とが出会う窓口の仕事は難しいが、企画や総務等の仕事で短期間なら、在宅勤務もなんとか成立する ・在宅ワークが広がり、就労形態が劇的に変わった。アバター使用やzoomも含め、コミュニュケーションの方法も多様化し、国民が様々な就労の形を理解し始めてきた ・障害のある人にとって、就労に本当に必要なものは何だったのかが見えてくるのではないかと思っている。21世紀の後半には異なる光景が出てきて、我々(自治体)の役割も変わってくるのではと思う ###2023年度第1回意見交換会 日時:2024年3月6日 10:30~12:00(オンライン) 1.難病者の社会参加を考える地方議員勉強会 ・2023年から開催、事例発表3回、議会質問の検討会1回 延べ60名の地方議員が参加 ・9自治体で11回の議会質問に繋がった ・袖ヶ浦市・焼津市・目黒区・三次市・鹿島市・山梨県・北区・津山市・伊丹市 ・議会質問から始まった地方行政での事例 →複数自治体で実態調査を実施 →目黒区:難病カフェを2回開催、まずは難病者との接点を持つ →山梨県:県正規職員2024年度採用試験に難病患者枠(日本初)を設定公表 2.ショートタイムワークの進捗報告 (ソフトバンク株式会社) ・東京大学先端研の近藤教授が提唱する週20時間未満からの超短時間雇用モデル ・ショートタイムワークアライアンスの仲間224法人、自治体も巻き込んで推進、広がり ・特別支援学級の学習の壁をICTで壊す、次は就労の壁:①日本型雇用、②社会制度 ・対象は、制約があって短時間なら働ける方、障害者手帳の有無を問わず 3.鎌倉モデルの事例紹介 (VALT JAPAN) ・デジタル就労支援センターKAMAKURA、障害者手帳の有無を問わず、70名が参加 ・ひきこもりの人、既存の福祉系A型・B型事業所に通えていない人 ・発注企業から業務委託を受注し、在宅型・通所型ワーカーへ再発注 ・制度の狭間で悩まれている方が賃金を得ながらスキルアップできる、一般就労へ繋がった方も 4.制度面、トピックス・ニュース ・厚労省次期障害福祉計画の14の基本方針の一つに「難病」が明記された ・独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の就労調査が分析されてから、雇用分科会で議論が始まる予定 5.『難病者の社会参加白書』第2号の発行について議論 ・社会への実装を入れたい ・難病者の実態と社会のイメージとのギャップが大きい ・難病者の一方的な意見ではなく、受け入れ側の視点も取り入れる ・雇用した経験の有無でギャップが大きい、企業は仕事人を求めている ・ITとのリンクも、世の中の変化が始まっているという打ち出し方 ・企業、経済界への働きかけも重要 ###2024年度第1回意見交換会 日時:2024年6月3日 14:00~15:00(オンライン) (まとめ)今年度の重点活動について以下の活動を行っていく事が共有された。「難病白書」第2号の発行、当事者視点の新しい判断基準の検討(痛み・疲労・変化量等)、「難病者の就労」を水面下から社会課題に広げたい(議員勉強会・シンポジウム・広報等) 1.地方行政・議会の動向・議員勉強会 ・地方議員勉強会から、10の自治体で12回議会質問、6月議会で新たに木更津市と沼津市 ・荒川区議会から国に意見書を出すことが決定 ・山梨県では、2024年7月からの正規職員採用に難病患者枠3名を設定(日本初)、側面から盛り上げたい ・JEEDの調査結果から、法定雇用率については2027年(令和9年)の改正 ・改正には、当事者を議論に加えてほしい、指定難病に限った話ではなく難病の患者全体の話、難病患者は一律の困難性がみとめられない ・12月に青木弁護士を迎えて合理的配慮の事例検討の勉強会を開きたい 2.「難病者の社会参加白書」第2号の進捗状況と課題 ・「難病者の社会参加白書」、前回の第1号は2021年に発行 ・前号の発行から2年半が経過し、この間に企業や自治体でいろいろな動きがあり、このタイミングで、難病者の社会参加の現在地をまとめて新たな動きへ繋げたい ・前回白書との相違点は、社会で動き始めた最新動向を意識・社会実装化、国が難病を取り上げたタイミングで地方行政の動きをトレースし促進したい、両立支援や職場での病気の開示にフォーカス ・白書制作プロボノ6名内定 ・資金について、企業協賛・賛助と助成金、クラウドファンディングで集める ###2024年度第2回意見交換会 日時:2024年9月10日 11:45~12:45(オンライン) (まとめ)難病者の就労支援を多角的に推進しようという機運が高まっている。法改正、啓発活動、企業連携、資金調達、情報発信などが多面的に議論された。また、実践的な支援策の必要性も浮き彫りになり、今後の具体的なアクションが期待された。 1. 難病患者の雇用・就労支援の進展 ・荒川区議会が国に意見書提出し、東京都とも意見交換を実施 ・山梨県が全国初、難病患者枠で県庁職員採用試験を実施し話題に ・NHKハートネットTVで難病と就労をテーマにした番組が10月放送予定、制作協力 2. 『難病白書2025』の制作 ・調査・執筆を開始。各企業や大学の協力を募る予定 ・クラウドファンディングを11月から実施予定で、資金調達を目指す 3. 法制度や企業側の対応 ・難病患者の法定雇用率への組み込みには法改正が必要で、議論はまだ初期段階 ・企業側の難病患者への理解不足や合理的配慮の困難さが指摘された ・企業アンケートを実施予定(休暇制度・リモートワーク・通勤配慮など) ・企業コンソーシアムの形成が提案され、官民連携による支援が模索されている 4. 研究会活動と今後の予定 ・12月14日に「職場の合理的配慮の現状と未来」をテーマにオンライン勉強会を開催予定 ・10月には地方議員向けの勉強会も予定され、地方レベルでの啓発活動も強化 ・11月30日に難病・慢性疾患フォーラムも開催し、就労や多様性のテーマで議論 5. 難病患者自身の取り組みと支援強化 ・患者側の就職活動の準備・ノウハウの共有も重要視され、白書への反映を希望する意見あり ・企業との連携強化には人事部門との接点が特に重要との指摘 ###2024年度第3回意見交換会 日時:2025年1月28日 14:00~15:00(オンライン) 1.研究会年末年始の活動報告 ・「合理的配慮勉強会」青木弁護士 12月14日実施 ・『難病白書2025』クラウドファンディング 12月14日スタート ・ワーディングPJT候補案絞り込み ・可視化+トリセツPJT団体内で作成・検証 ・The Valuable 500 SYNC25 12月3日 重光登壇、継続打合せ ・「地方議員勉強会」山梨県・荒川区・目黒区の事例紹介 1月23日に開催し、2~3月議会質問へ繋げる ・港区人事課長と2月6日 打ち合わせ予定 2.今年冬のシンポジウム企画のご相談 ・開催時期:2025年冬、開催場所:探し中 ・『難病白書2025』の発行・配布を機に、難病者の就労についての世論を喚起したい、「RDワーカー」の拡散 ・ゲストスピーカー:議員、企業、当事者 3.『難病白書2025』調査の経過報告、クラウドファンディング経過報告 ・『難病白書2025』調査を継続中、自治体回答数450強終了、当事者/地方議員/企業は締切りを2月9日として継続中 ・クラウドファンディング残り14日、現在255万円(目標額400万円)非常に厳しい状況、ここからどう追い込むか