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東京都オリパラ教育「記号カラダンス ワークショップ」

東京都オリパラ教育「記号カラダンス プログラム」

少し前になりますが、私は東京都オリンピック・パラリンピック教育の一環として都内の小学校で児童達と「記号カラダンス」を踊ってきました。

 

記号カラダンスとは?

 

記号カラダンスとは、自分の身体で作った「記号」で他人とコミュニケーションがとれるダンスのこと。遊びと同じでやりたくなったらすぐにそこにいる人みんなで出来ちゃうのです!

 

まずは、「伝えたいこと」(お題)に対して、思いつくままに自分のカラダで「記号カラダ」を作ります(例:「逃げる」を伝えるために、自分のカラダで非常口のマークになってみる等)。そして、その場にいるひとりひとりの「記号カラダ」をつなぎあわせてリズムに乗って踊ってみると・・・あら不思議! パラパラマンガのように一人ひとりの記号が連なり「その場、その時間、そこにいる人たちだけのダンス」が出来上がってしまうのです。

 

一人ひとりが作り出す記号カラダにはどれも間違いはなく、全部が正解。

それが記号カラダンスです。

 

 

なぜ?記号カラダンスなのか?

誰かに何かを伝えるとき、ほとんどの場合、この記事みたいに「言葉」を使いますが、「言葉」を使うことが必ずしもベストでないとき、ありませんか?

 

記号カラダンスを通じて、世の中の様々なシチュエーションに存在する「障壁」について知っていくことはきっと、人間はまだまだ捨てたもんじゃないって思える瞬間とたくさん出会うきっかけになると思います。

 

このプログラムの「体感・体験」は日々の生活のなかで困っている人に目を向け、きちんと考え判断し行動する力を持った人を増やすことを目的としています。

 

「みる・みられる・しる・かんじる」

 

タイトルにあるのは今回のワークショップのテーマです。

今回は小学1・2年生と一緒に踊りました。

小学校に行ったのは、記号カラダンスファシリテーターの「くはっち」、アシスタントとして「おっきー」こと白井さん(車いすユーザー)、ほか愉快な仲間たち。

 

ワークショップの大まかな流れは

みんなで「記号カラダンス」

続いてみんなで「だるまさんころんだ」をしました。

 

私個人として

 

私は、このワークショップを通して実際に車いすに乗った人と密なコミュニケーションを取ることによって、一人ひとりが違っていいということを知り、子どもたちが障害をもっと身近に感じてほしいという想いを持っていました。

その想いの中、子どもたちがどんなリアクションをするのか、どんな関わり方をするのか、そこに私がどんなお手伝いをできるのか、始まる前は非常に不安でした・・・。

 

しかし、その心配は杞憂に終わりました。

 

ファシリテーターのくはっちの軽快な掛け声のもと、子どもたちはとても楽しそうにダンスをしていました。また、子どもたちは車いすに興味津々で、車いすを押すとき、止まるとき、移動するときにどう配慮するべきなのか、自分たちで考えて、実行していたことには感動を覚えました。そして、子どもたちの笑顔がともても素敵で印象的でした。

 

 

「学びは子どもたちだけではない」

そしてもうひとつ、感動的だったのが、先生方も積極的に参加してくださったことです。先生方も一緒に踊り、一緒に走っていました。もちろん、子どもたちのサポート、モチベーションづくりという側面も強いですが、私が何よりも重要だと思ったのは、きっと先生方にとってもダイバーシティについて考える機会になったのではないかということです。

 

私がそう感じたのには理由があります。実は、私はこのワークショップの一ヶ月前まで地元の中学校に教育実習に行っていたからです。実際に先生の立場になって感じたことのひとつに、生徒たちの心情や感情を理解することの難しさがありました。いくら大学で教育学の知識、各教育方法やスキルを勉強したからといって、実際に生徒が何を考え、どう感じているかを現場で把握するのは至難の業でした。

 

そこで私は、生徒と全く同じことを一緒にやってみようと思いました。例えば体育祭の練習では、ムカデ競走を一緒に走り、一緒に声を出し、一緒に応援する。それだけで生徒たちとの距離が縮まり、それ以後の関係性にも良い影響をもたらしたと感じています。

 

教育実習の経験を今回のワークショップに当てはめて考えてみることは大変おこがましいのですが、児童と一緒に楽しそうに踊る先生方の姿と、教育実習の時の私の姿が重ねてしまいました。なので、先生方にとっても、この機会が児童と一緒にダイバーシティについて考える良い機会になったのではないかと感じたのです。

 

今回、ワークショップという枠を飛び出して、今後多様な児童とどう関係を構築していくかを学校全体で考えていく良いきっかけとなる時間を創り出せたのではないかと私は感じました。

 

 

17/10/11
text by いっちー