近年、難病者の働く環境は、多様性を尊重する社会の広がりやテレワークの普及、医療の進歩や制度整備によって前進しています。 しかし、就労率はいまだ低く、企業の理解や配慮も十分とはいえません。特に障害者手帳を持たない方への柔軟な制度や支援が求められています。
こうした課題に向き合い、「働きたい・社会参加したい」という思いを持つ難病当事者や支援者、医療者、コピーライター、地方議員など多様な立場の有志が半年間議論を重ね、その成果として「RDワーカー」という言葉を生み出し、社会に発信していくことにしました。
■RDワーカーとは?
RD ワーカー=Rare Disease Worker の略です。
「 RD」は、2008 年からスウェーデンで始まった RDD(Rare Disease Day 世界希少・難治性疾患の日) に由来しています。Rare Disease は英語では「希少 疾患」を指しますが、私たちが提唱するRDワーカー には、Intractable Disease(難病)、Chronic Disease(慢 性疾患)も含み、指定難病や本白書独自定義の難治性慢性疾患の人々も含みます。 RD ワーカーとは、そのような難病と共に働いて いる、働こうとしている人たちのことです。

■3つのRare

「Rare」には3つの意味が込められています。
- 支援制度が少ない
- 社会的認知が少ない
- 働く選択肢が少ない
■3つの就業タイプ
難病にはさまざまな病気があり症状も個別性がありますが、私たちは病状の変動と 勤務時間に着目しました。
「その人がどのくらいの時間であれば、安定して働き続け られるのか」を手掛かりに、3タイプに整理しました。
- ゆるゆる変動
- そこそこ変動
- せかせか変動
自分のタイプを知ることは、無理のない働き方の第一歩になります。 企業にとっても、仕事内容のイメージが持ちやすくなります。

■RDワーカーの可能性
RDワーカーは「支援される存在」にとどまらず、誰もが働きやすい社会を創る先駆者になり得ます。
【社会への効果】
難病者の就業機会や社会参加を進めることは、社会で眠っている潜在労働力の活用に つながるだけでなく、多様な働き方の推進、企業の組織風土の改善や多様な価値を取り 入れるDEI経営の実現にも貢献します。

■未来へのメッセージ
RDワーカーが活躍する社会は、難病者だけでなく、誰にとっても働きやすい社会へとつながります。 一人ひとりの多様性を尊重し、誰もが暮らしやすい未来を創る― RDワーカーは可能性に満ちた存在なのです。
RDワーカーについて、
より詳しくは「難病者の社会参加白書2025」で紹介しています。ぜひ御覧ください。