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仕事で必要になって始めた障害福祉のボランティア。だけど・・・!!

仕事で必要になって始めた障害福祉のボランティア。だけど・・・!!

IT関係のお仕事とアウトドア関係のお仕事を両立させているという、少し謎めいた堀内さん。謎めいた部分も後ほど少しずつ明らかにしていきます!ご自身をおおらかで気にしない性格とおっしゃっていますが、インタビューにも気さくに応えてくださいました。

 

仕事に必要だと思い!

150918_1岡谷:どうしてボランティアをしようと思ったのですか?
堀内さん:ボランティア自体は初めてじゃなかったんですが・・・昔、森林整備のボランティアをしたことがあるんです。森林整備を選んだ理由は、自分の仕事(その時は環境に関する仕事をしてたんです)をする上で知識や経験を持つべきだと考えたからですね。
ボランティアっていうと「福祉」をイメージする人が多いというデータがありますけど、その昔、僕は障害福祉のボランティアなんて「偉いなぁ」くらいの気持ちしかなかったんです。
それが、今通ってる障害福祉のボランティアは、私から重光さん(両育わーるど代表)に「紹介してください!!」とお願いして始めたんです。まぁ、これも今の仕事の展望を考えたときに「障害福祉」の知識と経験があった方がいいと思い立ってのことですけどね。

岡谷:展望というのはアウトドア関係のお仕事の件ですね!どのようなお仕事ですか?
堀内さん:いろいろやってるんですけど、障害福祉を経験したいと思ったのは「いろんな人が同じ空間で農業を体験できる」っていうプロジェクトをしたかったからなんです。そこでは家族連れだったり、高齢者だったり、子供だったり、障害者だったりが、農業を通して屋外に出て、土に触れながら隔たりなくコミュニケーションを築ける。でも、その前に、自分が障害や障害児者について知らないことには呼べないと思ったんです。

 

障害児者が歩み寄ることを強いられる現状に・・・

岡谷:必要と思ったらまずは経験してみる。フットワークが軽いですね!しかし、いきなり飛び込んでギャップや驚きを感じませんでしたか?
堀内さん:実は、アウトドア関係の仕事では他にも、被災地の子供たちと田畑やキャンプをしたりして、子供と関わることは多いんです。障害の有無に関わらず、子供自体には違いを感じないんだけど、子供と接する時の方針にはギャップというか現実をまざまざと見せつけられた思いでしたね。
僕の仕事もそうだけど、大抵の場合は子供のやりたいことをさせて、その中から興味や才能を見出し伸ばしていきます。だけど、障害児は「今すべきこと」「今してはいけないこと」の区別を理解するための訓練が先。障害児が社会へ歩み寄るっていう視点で、小中学生の時分から社会への適応を見据えなきゃいけないんですよ。そして、そういう風に障害児者が強いられている現実があるんです。

 

知っていれば社会が障害に歩み寄ることもできる

岡谷:施設でボランティアを始めて、他にもわかってきたこと、得たことなどはありますか?
堀内さん:「社会が障害に合わせなきゃ」という考え方も持つようになりました!例えば、電車の中で変な動きをしながらブツブツ言ってる人がいたとしても、障害について理解が進めば、「何が起きてるのか」「どう対応するのが適切か」わかるようになりますよね。障害児者にとっても、周りが理解してくれてるという環境の方がはるかに生活しやすいと思います。社会においても障害への理解が進んで、障害児者だけじゃなくて双方が歩み寄るっていうのが理想的ですね!

 

週1回短時間でも!

岡谷:そのように考え方や視点に変化をもたらす施設でのボランティアですが、いつ・どんな活動をされていますか?
堀内さん:僕の仕事を優先させてもらってるんですが、週1回2時間くらい子供たちと活動します。運動や工作、音楽やおやつ作りなんかをしますね。今日はバトンを使ったストレッチをした後に、楽しくおやつを食べました。

 

やり取りの楽しさから、結果的に喜びを得ました

岡谷:おやつと言えば!おやつの時間の素敵な1コマを写真で拝見しました。子供もですが、堀内さんもいい笑顔ですね。
堀内さん:そうそう、一緒にいたAさんは食べることが大好きで、ちょっと目を離すと1袋ずつと言われてたクッキーをもう1袋もらっちゃおうとしたりして。だから、今日は「僕に1枚ちょうだい!」ってどうにかこうにかコミュニケーション取って、大好きなクッキーをもらうことを試みたんです。Aさんとのやり取りがなんだか楽しかったし、「わかったよぅ」とか言いながら、最終的にクッキーをくれたときには、やっぱり嬉しかったんですよね。僕を受け入れてもらえたような気がして。

 

子供の能力と適正を見出せれば・・・

150918_2岡谷:楽しさと、何より嬉しさが伝わってきます。他にも印象に残っているエピソードはありますか?
堀内さん:高機能のBさんはいつも、Cさんっていう自閉症の同級生を気にかけていて、何をするにも手助けしたり助言したり、時にはCさんに質問してるのにCさんがちょっと言葉に詰まるとBさんが応えちゃったりするほどなんです。七夕が近づいたある日、ふとBさんの短冊が目に留まったんですけど、そこには「Cさんがひとりでシャツを着れますように」って書いてあったんですよ。びっくりするくらい優しいでしょ?こんなにも豊かな心を持ってるBさんだから、その適正を見い出される機会がちゃんともらえて、高校を卒業する時には、授産施設で働くという道以外にもたくさんの選択肢が与えられればいいなと思うんです。Bくんもその選択肢の中から自分で選ぶことができれば、嬉しいですよね。

 

はじめは誰でも戸惑います!

岡谷:欲しい物や色々な願いがあるでしょうに、純粋に友達を思う優しさ・・・健常者にもなかなかいませんよね。心温まる現場がある一方で、やはり戸惑われることもありましたか?
堀内さん:女の子に服を脱がれると困る・・・(笑)
初めて障害福祉に触れる時っていうのは誰でも戸惑いますよ。障害の強さを目の当たりにすることもありますし。それに、障害を持った子供たちにどこまで言っていいのかわからないから、最初は施設の職員さんの様子を見て判断するしかなくて、ただ真似するだけです。他にも、職員さんと一緒なら出来るのに、僕だと出来ないとか。あとね、通ってる施設では、例えばおやつとか欲しい物があるとき「ください」ってみんな必ず言うんですけど、これって健常児が家や学校で必ず言わされてることではないですよね。でも、「自分の意思を他人に伝える」「了解をもらってからその事を行う」、これは障害児にとって社会に適応する訓練の一つだと思っています。お互いの意思を確認することってすごく大事なんだけど、障害児はその事を理解しないまま行ってると思うんです。健常児であっても、将来この事がどうして必要なのかを理解するのは難しいですよ。それでもとにかくそうするし、そうする必要があるっていう現実をたくさんの人に知ってもらいたいです。

 

やり取りがスムーズになりました

岡谷:私でも知らない人といきなり一緒にやるとなれば出来ることも出来ないということがあります。子供たちと関わる人も日々試行錯誤ですが、子供たちとの関わりに変化を感じたことはありますか?
堀内さん:僕が言ったこと(指示)に対する行動(反応)がスムーズになってきました。やっぱり最初は、得体の知れない僕が言うことなんて耳に入らないっていうか…だけど、顔見知りになれば出来るようになるんですよね。

 

ニュアンスまで正確に伝えることで、子供が自ら変われるように

岡谷:コミュニケーションがスムーズになってきたことが実感できれば、とても嬉しいですよね。関わりが変わるきっかけなどがあったのでしょうか?
堀内さん:きっかけって言うと少し語弊があるかもしれないけど、常に「怒ってるわけじゃないよ」ということが伝わるように気をつけましたね。特に、指示するときってそう聞こえやすいと思うんです。例えば、おやつを人より多く取っちゃったAさんに対して、極端に言うとですけど「クッキーくれないと怒るぞ」とAさんが捉えちゃうような表現じゃなくて、「みんなはクッキー1袋なのにあなただけ2袋はおかしくない?」っていうニュアンスが正確に伝わるように。そこからAさんが自分で気づいて執着を自ら捨てるというか、手放すことができるように。障害の有無に関わらず、こうしたこだわりが強いと、人とつき合い辛くなると思うんです。だから、このクッキー1枚をAさんからもらう事にこだわっってみました(笑)

 

どんなキッカケや理由でも、関わってみれば・・・

岡谷:子供と関わるとき、関わる人がどのような思いで何を伝えようとしているのかを正確に伝えることは本当に難しいと思います。だからこそ、子供たちが「わかった!できた!!」と思えたとき、そして関わる人が「伝わった!」と感じられるとき、やりがいを感じるのではないでしょうか。やりがいのある障害福祉のボランティアを今後も続けたいと思いますか。
堀内さん:いいえ(笑)というのも、いずれボランティアじゃなくて、違う形で関わる時が来ればいいと考えてるからなんです。障害児者を田んぼや畑に連れ出す、道先案内人のような形で。
みんなに喜ばれることができればいいと思ってます。人に喜ばれているっていう実感があれば、心に余裕が生まれますよね。心に余裕があれば、例えば誰かから責められても、自分の主張を展開するより先に「相手がどうして自分を責めるに至ったか?」というところに気持ちが及ぶようになる。これはボランティアっていう行為だけじゃなく、自分にとっても、周りの人にとっても、ひいては社会にとっても、すごく価値のあることだと思うんです。
障害福祉の現場には、喜ばれることがたくさんあります。どんなキッカケでも構わないから、関わってみることが大切だと思いますよ。
堀内さん、本当にありがとうございました。

 

 

15/9/18
text by 岡谷大祐