【220526開催報告】はたらく難病ラボvol.3『病気と闘わない!~「諦める」を楽しむ』
はたらく難病ラボvol.3 開催報告
▼イベント概要
『病気と闘わない!~「諦める」を楽しむ』
開催日時 2022年5月26日(木) 20:00-21:30
開催方法 オンライン(ZOOM)
参加費 無料
定 員 20名(先着順)
申込期間 2022年5月25日〆切
主催 難病者の社会参加を考える研究会
共催 とりすま・イースマイリー
後援 一般社団法人日本難病・疾病団体協議会
アーカイブURL
【難病×仕事】『病気と闘わない!~「諦める」を楽しむ』 <はたらく難病ラボvol.3 アーカイブ版>
▼プログラム
20:00- イベント概要説明/登壇者紹介
20:05- 【トーク】病気と闘わない!~「諦める」を楽しむ
20:40- 【参加型座談会】「諦める」についてグループディスカッション
21:20- 振り返り
21:30 終了予定
▼登壇者紹介
- 近藤 菜津紀(こんどう なつき)【メインスピーカー】
中学生で症状が出始めるが、20年目でようやく慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)と判明。獣医師となり仕事を始めるも、なかなか思うように働けず、働くことについて考え始める。現在は、日本で唯一の「寝ながら獣医師」として介護ベッドで飼い主さんからの相談を受けている。飼い主さんの疑問に答えるYoutube『こんどうなつきの寝ながら獣医師TV』も配信中。子育て中の1児の母でもある。
- 鳥越 勝(とりごえ まさる)【ファシリテーター】
1988年生まれ。12歳で難病ベッカー型筋ジストロフィーと診断を受けるが30歳まで隠して過ごす。現在は大手ハウスメーカーに勤めながら、YouTube『とりすま』にて難病•障害に関する情報発信を行い、また難病や障害のある方とその家族のためのコミュニティ•オンライン座談会の企画運営も行う。その他、難病•障害に関わる様々な団体の活動への参画やイベント登壇など、難病当事者だからこその多岐にわたる活動に取り組む。
- 重光 喬之 (しげみつ たかゆき)【コメンテーター】
20代半ばで脳脊髄液減少症を発症し、2度の退職と5年の寝たきりを経て、2012年にNPO法人両育わーるどを設立する。2018年に制度の狭間で孤立する難病者の選択肢を増やそうと、難病者の社会参加を考える研究会を立ち上げる。趣味はSF小説と曲作り、疼痛によりせっかちさに拍車が掛かる。
▼運営サポート
* * *
スタッフレポート:諦めるを楽しむは活き上手!
今回は、働く難病ラボ史上最多の25名の参加者の方を迎え、諦めるを楽しむというテーマでのお話を伺いました。
話して下さったのは近藤菜津紀さん。
在宅の獣医師をなさってらっしゃる所以か、頭にはトレードマークのように愛らしい文鳥のシュウゾウくんを乗せての登場に私は心が和みました。
ご本人も穏やかな語り口のなごみ系獣医師さんであります。
近藤さんの抱える病気は、慢性疲労症候群。
中学生の時分に発症したとのお話で、病名がつかない時期が長くとても苦しみ、ご自分が至らないのでは?と自責したところも多かったそうです。
私も、時分の病気で似たように辛かった時期が長かったので、とても共感できました。
しかし、それにも滅気ず、寝ながらも獣医資格を取得し一時は公務員として勤務されたそうです。
ですが、激しい労働下で病状が悪化…。
ここで、漸くご自分が慢性疲労症候群と発覚したそうです。
そこで転機が!
病気の啓蒙で著書を出筆。「病気と闘わない」と言うご本だそうです。
近藤さんのお人柄らしい、しなやかで強い、色々な苦渋を味わいながらも生み出されたタイトルの本棚という印象でした。
その結果、外部で働くことを『諦め』在宅で、そして介護用ベッドの上で働くすべを定着化されたそうです。
個人的に、介護ベッドの汎用性について、めちゃくちゃ便利だなと、近藤さんの視点の豊かさのようなものを感じました。
クラウドソーシングを経て、在宅での獣医師業(主に、従来の獣医師さんには聴きづらいような質問にも答える、手厚いサービスですね!)と言うスタイルが出来上がったそうで、お子さんのためにも側に居られるという、一石何鳥にもなるアイデア無双!
格好良いですし、ビジネススタイルに素直にあこがれを抱きます!
本題のお仕事の件に入りますが、矢張り、難病を抱えての仕事はイージーとは言い切れない。
体調面からワークバランスが難しいとのことですが、適宜休養を挟むなど工夫をされて乗り切っている点で、他の難病疾患の方も少なからず凝らしている所も見受けられました。
また、イレギュラーな部分も有る相談などの対応なども、ある程度目測に入れられて、『ルーティン化』と言う、大きな枠の中で働いている為、急速の入れ方もお上手だなと参考に。
今までの苦心や努力が活かされていて、とても時間の采配がうまい方だなというのが印象にあります。
諦めるを楽しむ話に入りますと、詰まる話。
無駄なリソースを割かないようにすること。
本当に好きな事、やりたいこと、食指が動くことに時間を使いたいため、そのあまり意図しない仕事を外部の方にお願いするなど、良くビジネス本などで時間の使い方が上手い方の使う技。
不得手なことは得意な人にやって貰おうよ戦術を行使されていらっしゃいました。
まさに、理想的な時間の使用方法!
私にも出来るかなぁ…なんて考えながら、そのタイトな効率のいいお話に感心するばかりです。
諦めるを楽しむについても、諦めること自体を楽しむこと。諦めた先の人生を楽しむこと、など諦めて得られた豊かな働き方や生き方にただただ関心というか、ああ素敵な生き方!と感慨を覚えました。
一見諦めるってネガティブなことのように捉えがちですが、現状をよく認知し、時分にとってロスなことを止めるというシンプルな構造。
美しい生き方だなぁ、と純粋に思えました。
司会のとりちゃんが、ブッダの話で諦めてふて寝したら悟りが開けた件の余談を話していましたが、余計な力みを抜いて、本当に必要なことに全力になれる。
そんな近藤さんの生き方は『諦める』以上の大きな『成果』を得ていることは間違いないと思いました。
今回の学びとして、諦めるを楽しむ。は、足るを知り、抗うのではなく受け入れて柔軟に対応する、近藤さんの生き方からどんな苦境でも自分ひとりで背負わず色んな人と共生しながらも、楽しくシンプルに生きる美しさを見いだせました。
近藤さん、お話ありがとうございました!
私の憧れる人リストに、また一人素敵人が加わったのでした。
(ゆづパン)
第3回 働く難病ラボの動画は、You Tubeチャンネル『とりすま/障がいや難病のある当事者やご家族のための情報チャンネル』で公開されています。
第3回のグループディスカッション