全盲
[ ぜんもう ]この障害になる確率、日本で約1118人にひとり。
目がまったく見えない状態で、生まれたころから視力がない先天性の全盲と、何らかの理由で失明する後天性がある。視覚障害者が生活しやすくなるためには、段差などの物理的な壁を取り除くだけでなく、公共性のある情報や映画・テレビなど文化面での壁、そして何より心の壁を取り除く必要がある。
障害概要・数値の出典元:平成18年身体障害児・者実態調査結果 (厚生労働省)[2016年10月21日参照]
MY STORY
生まれたときから全盲だったというKさん。
彼女が感じている今の世界について聞いてみました。
-今抱えている障害に気づいた時のこと、覚えていますか?
近所の子と遊んでいた時に、自分は何か違うのかなと漠然と思った記憶はあります。ただ、「目が見える」という感覚がわからなかったので、実際にどんな状態かを想像するのは難しかったですね。「なんとなくこういうことなのかな」というイメージはありましたが。
-生活する上で困ったことは?まわりの人と壁を感じることは?
慣れてしまっているので困るという感覚はあまりないですが、移動と情報が視覚障害にとってはいちばんのネックになります。情報は時間をかければとれるし、今はスマホがあるので便利になりましたが、知らないところで自由に動き回ろうとすると不便を感じることは多いですね。また私自身、相手が私の人となりよりも障害で私という人間を見ているのではないかと感じて、ちょっと構えてしまう感覚はあります。一緒に何かをしていても遠慮されていると感じることもありますね。お互いに良い意味で鈍感になれるといいのかなと思います。
-ユニバーサルな社会って、どんな社会だと思いますか?
いろんな人がいて当然。みんながそれぞれの人生を生きていく権利があるのが当然だと思えるのがいいですね。たとえばニューヨークでは街中で犬を連れている人は珍しくありません。盲導犬を連れている人、肩にオウムを載せている人、猫を抱いて歩いている人、いろんな人がいてあたりまえ。だから私が犬と歩いていようと気にしない。かといって無関心ではない。それぞれが心地良く生活していくことを、干渉しないで、認め合えればいいですよね。「間違っている」「そんなの変だ」と思わずに、お互いを尊重して幸せになっていけたらいいなと思います。