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脳脊髄液減少症

[ のうせきずいえきげんしょうしょう ]

この疾患になる確率、日本で約254人にひとり

交通事故やスポーツなどによる外傷性の他、突発的にも発症する脊髄から脳脊髄液が漏れる疾患。症状は起立性疼痛やめまい、吐き気など人により様々。2000年に研究が始まり正しい診断をできる医師が少なく、治療方法も研究途上である。

※公的な患者数の調査がない状況。   
疾患概要・数値の出典元:篠永正道「脳脊髄液減少症を知っていますか。」(西山書店、2013)[2018年3月1日参照]

MY STORY

20代半ばで脳脊髄液減少症と診断されたSさん。
24時間365日、絶え間なく続く痛みと向き合いながら、
福祉現場と社会をつなぐNPO法人も立ち上げています。
そんなSさんが考える、理想の社会の形とは?


-どんな時が楽しいですか?

片時も忘れられない痛みがあるので心の底から楽しいと思えることはあまりないですが、心を許せる人と一緒にいる時や、仕事が進んでいるときは楽しいです。人と会っている時は一人きりでいる時よりも、痛みが少し和らぐ気がします。でもその後、痛みやしんどさの負債が返ってくるので、人に会うために出かけるかどうか、出かける直前まで悩みます。あとは、SF小説を読んで現実逃避をしている時かな。

-ユニバーサルな社会にする上で必要なこととは?

ゆとりと寛容さ。それぞれが心にスペースを持っていれば、自ずと実現するはずです。障害や疾患などの括りや、制度で区切り過ぎず、違いを認め合えれば、社会はユニバーサルになるのではないでしょうか。職場で「子どもの迎えがあるから早く帰ります」、「親の介護があるので明日休みます」など、それぞれの生きやすさ、働きやすさを認識し、「代わりにやっておくよ」 「お大事に」と言えるゆとりを持てたらと。白黒だけなくその間に色々な濃淡のグレーがあるように、多様な働き方の事例を蓄積したいです。

-社会に伝えたいことはありますか?

社会制度の枠に入ることができない人たちの存在を知ってほしいです。まだ未知の部分が多く、病気の認定がされていないために、医療も社会保障も追いついない≒存在しない、“見えていない人たち”がいます。つまりまだ可能性がある人たちが700万人もいるということです。世の中には、約7000種の研究途上の疾患があり、人口比にして5%。誰もが、ある日突然発症するかもしれません。見えていない存在が見えるようになり、彼らの社会参加が叶ったら、そうでない人たちにとっても生きやすい社会になるはずです。